2022年、小川泰弘はエースになった | ヤクルトが好き

小川泰弘

2022年6月10日(金)
ソフトバンク[1-3]ヤクルト(PayPayドーム)

プロ野球選手というよりも人間は、好調が長く続かない。けれども、一流の選手は調子が悪くてもそれを試合中に修正してくるし、最低限の結果を出す。よく聞く「悪いなりによかった」ということだ。

この試合だと小川泰弘がそうだった。開幕投手を任されながらも不甲斐ない投球が続き二軍落ち。昇格初戦も5回を投げきれなかった小川は5月に入ると蘇った。

5月3日の阪神戦で完封勝利をマークすると、その試合を含めて5試合連続で7回以上を投げ自責点は2位以下。いわゆるハイクオリティスタート(HQS)を達成し続けている。

とくに前回の登板は1-0のしびれる展開だったけれども、危なげなく淡々と0を積み上げた。あのルーキーイヤーの、2013年の、まさにエースの小川泰弘だった。ルーキーイヤーの怖いもの知らず感とはちょっとちがう落ち着き、渋みが増した2022年の小川泰弘ともいえる。

が、1週間の間になにがあったんだろうか。この日の小川は2013年から8つの歳を重ねた、あるいは2022年から1年の時を巻き戻された2021年の小川泰弘のようだった。

先制後に同点に追いつかれ、その後も単打を浴びピンチを背負う。ふわふわした内容でファン(ぼく)はそわそわする。けれどもなんだかんだ6回、7回を2失点、3失点でまとめ上げるあの小川だ。​

終わってみれば相手のエースと投げあったうえで7回を1失点でまとめている見慣れた小川だった。点の取られ方の印象が悪く、なんだかエース感がない。そんな小川。

2021年なら、「あーいつものことだ。これが今の彼のベストピッチなんだろうな」となにか悟ったかのように感じていたことだろう。でも2022年の小川を知ってしまったファン(ぼく)は、「悪いなりによかった」と頷いている。

球界を見渡すとエースと呼ばれる投手はさすがの投球を見せる。カード頭になる金曜日と火曜日はとくに、だ。この日も大野雄大(中日/9回1失点)、青柳晃洋(阪神/7回無失点)、上沢直之(日本ハム/9回1失点)と各地で素晴らしい投球をエースたちが好投していた。

ここ数年、小川はエースではあったけれども、誰もが認めるエースというよりかは「押し出されたエース感」があった。去年、奥川恭伸が出現したことでさらに拍車をかけ、いろいろな空気が広まった。

それがどうだろう。「悪いなりによい投球」でしっかりとチームに勝利をもたらすことができるのであれば、押し出されたわけではなく、れっきとしたエースなんじゃなかろうか。

2013年から2021年を越え進化した、2022年の小川泰弘なら各球団のエースたちと肩を並べても遜色ない。

試合結果:https://www.yakult-swallows.co.jp/game/result/2021005806
※ヤクルト公式HPより

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